インフラ勉強会セッション メッシュネットワークの話
インフラ勉強会で2019/5/6に登壇したセッションです。
ルーティングプロトコルのセッションの解説時に「メッシュネットワークに馴染みがある人があまりいない」ことがわかったのでやりました。
また、メッシュネットワークと携帯電話網(3G/LTE)との違い、IoT関連で実用化が進んでいるLPWA(Low Power Wide Area)についても解説しています。
概要
- 一般的な無線LAN~無線メッシュネットワーク
- モバイルとは
- モバイルネットワーク
- LPWA (Low Power Wide Area)
コメント要約
「」がいただいたコメント(意訳)です。
一般的な無線LANについて
- 「APってどのレイヤーで動いてるんだろう…」
- (メッシュネットワークでない)一般の無線LANではL2の動きをします
- メッシュネットワークではルーティングが必要になるのでL3の動きをします
無線メッシュネットワークについて
- 「災害やコミケ時に気球で無線LANを提供するような感じでしょうか?」
- 「中継器を使うのも該当しますか?」
- 無線で受信して無線で送信する中継であればまさに無線メッシュネットワークと言えます
- 家庭用の無線LANルータでも「メッシュモード」として中継器の役割を担うことができるものも登場しています
- 「周波数、チャネルの割り当て/住み分けはどうなるのでしょうか?」「チャネルは同じでも強引にできなくもないような」
- 「つまり、スマホのLTEをテザリングでPCに共有して、PCからWi-Fiで別のPCやスマホに接続させるのもメッシュネットワーク…」
- 「アドホックモードとインフラストラクチャモードがIEEE802.11にある」「アドホックネットワーク」ってやつですか?」
クイズ:「モバイル」は日本語で表現すると…?
- 「携帯?」
- 「持ち運び?」
- 「移動?」
- 「可動?」
- 表現するとすれば「移動」です モバイルネットワークは「移動体通信」とも呼ばれます
クイズ2:ネットワークにおける「移動」とは?
- 「?」
- 「通信元が変わる」
- 「ハンドオーバー」
- 属するネットワークが変わり、通信元アドレス/通信経路が変わることを指します
- 「切り替わること」を「ハンドオーバー」と呼びます
「移動」が発生したときの動作について
- 「経路がなくなるから通信できなくなる」
- 移動により「アドレスが変わり相手を見失う」ケースと「(たとえ同じアドレスであっても)同じ通信経路で通信できなくなる」ケースがあります
- 「目の前で会話していた人が、スゥ…っと消えて、後ろからスゥ…っと出て来る感じ?」
- そんな感じです さらにその人の見た目も変わります
- 「セッション切れて困る時に移動しないで欲しい。」
- IP網(無線LAN)のコンセプトとしては「移動してセッションが切れること」は下のレイヤーでは考慮しないので「移動しない」か「上のレイヤーで移動しても大丈夫なようにする」ことが求められます
モバイルネットワーク(携帯電話網)の基地局から先のネットワークについて
- 「収容局とつながってそう」
- 「いろいろあります」
- 「基地局→収容局→データセンター ってイメージが強い」
携帯電話で電話しながら移動しても通話が途切れないことについて
- 「確かに切れない」
- 「自家用ジェットで音速で移動しながらでも、電話が切れなかったような?」
- 飛行機は基地局の電波が届く高度で飛ぶとは限らないので、おそらく衛星通信を行っているのではないでしょうか
- 「(ハンドオーバーについて)昔の電話交換士を超高速でやっている感じ?」
- イメージとしては近いと思います 途切れそうなことを感知して自動で切り替えてくれます
- 「昔、サーキットで車運転しててもハンドオーバーでつながり続けます、みたいなデモをキャリアがしてましたね」
- 「ハンドオーバーすごい」
- 「ベン図で描くと重なったところで切り替えているんですかね?」
- そうです 複数の基地局配下にいるときに「今繋がっている方の電波強度が一定以下になったら切り替える」ような判断がされて切り替わります
- 実際の判断基準がこの通りかは未確認です
- そうです 複数の基地局配下にいるときに「今繋がっている方の電波強度が一定以下になったら切り替える」ような判断がされて切り替わります
- 「3大キャリアのハンドオーバ妖精さんいつもありがとうございます」
- 「前に三大キャリアの社内システムを勉強する機会があって、全く分からなかった内容が今少しわかった。」
- こういうのうれしいです 励みになります
- 「電話交換手は回線交換です、最近の無線ハンドオーバーたしか2経路を多重で送って切り替えていたような」
- セッションでは詳しく触れませんでしたが電話網も「回線交換方式」から「パケット交換方式」になりました
- 「固定でいうところのKeepaliveをしつつ、別シーケンスでハンドオーバーを実行しているイメージだった記憶」
- 「ping値とかで距離見込みとかも取ってるのかなー…?」
- 基準は未確認ですが考え方は合っていると思います
- 通信品質、電波強度を考慮していると思います
- 「移動体通信のハンドオーバーに比べて、無線LANのローミングはほんとどうにかして欲しい」
- 「Wi-Fiならリンク速度で一定速度以下を意図的に切ったりしてますよね…」
- 「都心とか、3,4個くらい基地局のかぶってる場所あるだろうし、そのへんの切替アルゴリズム?はすごそう」
- 都市部の基地局の配置方法気になりますね
- あまり密集していても干渉するでしょうし…
- 「基地局とか諸々メンテしてくださる皆さんには本当に頭が上がらない…」
- 裏のネットワークの仕組みもそうですが、物理インフラも規模が壮大なので本当にすごいですよね
- 「5Gになると、キャリア網内に企業の仮想LANレイヤーを作って、無線LANなんてない世界ができるのかな」
- 可能性だけで言うとできると思いますが、仮想LANレイヤーの実装によってはルーティングコストや管理コストがかかってしまうので積極的にはやらないのではないでしょうか
- IPv4/v6みたいな住み分けになるのではと予想しています
- 「ここで言うアドレスはMACアドレス?IPアドレス?」
- 「(5G仮想レイヤーについて)端末がLTEとか5Gに対応しているかどうかってことかもしれないですね それにはハードウェアメーカー次第か… 市販 PCでは難しい」
- モバイルネットワークでいろいろやろうと思うと接続する端末が対応していなければならないのでハードウェア次第ですね
- eSIMのようにソフトウェア的になんとかなる部分もあると思うのでモノによってはソフトウェアアップデートで対応もあるかもしれません
- 「(MACアドレスは変わらないに対して)セキュリティを高めるために数時間ごとにMACアドレスを書き換える実装もあります 個人特定を避けるために」
- 「キャリアNWだと、実監視ベースで仮にMACを別で拵えて管理しているケースもあります」
- なるほど、管理のための識別子として仮想アドレスを管理しているイメージなんですかね?
チャネル設計について
- 「最近のwi-fiのチャネルが1つで運用出来るのは謎技術」BR-400AN|Mesh Metwork System(無線LANメッシュネットワーク)|サイレックス・テクノロジー株式会社
- 1つのチャネルで複数APを運用するもののようですね
- 速度が出なくてもよかったり、配置の際にチャネル設計をしたくないなどの限定的な環境向けのような気がします
- 「チャネルってオートじゃダメですか?周辺からの電波干渉で再設計になったりするので」
- オートと固定 どちらがよいかは一概には言えません
- 求めるものと環境によってどちらがいいか変わります 検証してみないとわからないこともあると思うので最終的にはいろいろ試してみるしかないのでは…
感想
無線LANの話だけでなく携帯電話網についても触れました。
この話題も理論ベースでしか抑えていなくて実際の実装や運用について、コメントで情報が得られたのでうれしかったです。
携帯電話網の裏側やPLCなど興味があるネタなのでセッションがあればぜひ聞きたいと思います。
低レイヤーの話は、「使ってるけどどうなってるかわからん」ということもあると思いますが、調べてみるとおもしろいですよ。 (知っていても役に立つ機会はあまりないかもしれませんが…)
今回からコメント要約を「ざっくりどの話題についてか分けて書く」ということをしていこうと思います。 (過去分も一部記述しました)